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ブックレビュー:僕がバナナを売って算数ドリルをつくるワケ

2016年4月21日 10:00

ディレクターの前田です。
最近は、Web制作のディレクションだけでなく、お客様の販促や集客のお手伝いをすることが増えてきました。
アイデアを出したり企画を考えたり、面白い仕事である反面、なかなかいい案が浮かばなかったり、実行しても思うように運ばなかったりと、大変なことも。
そんな時に、運営堂 森野さんにオススメされたのが、今回ご紹介する「僕がバナナを売って算数ドリルをつくるワケ」でした・・・。

川崎フロンターレにアイデアマンあり!

ここ数日で立て続けに見かけた、Jリーグのサッカーチーム「川崎フロンターレ」関連の記事タイトルを並べてみました。
サッカーと相撲のコラボ?なんだかおもしろいことをやっているな。そう思われた方も多いのではないでしょうか。

実は川崎フロンターレさん、こういうオモシロ企画をずっと昔から実施していて、観客動員を増やし続けています。先の武蔵丸親方が始球式を務めた「イッツ・ア・スモウ・ワールド」など、時にダジャレも盛り込んだ企画たちは、サポーターから愛をこめて「おバカ企画」なんて呼ばれたりすることも。
そして、その企画の中心にいつもいるのが、今回ご紹介する「僕がバナナを売って算数ドリルをつくるワケ」の著者、天野さんです。

そう。この本、そのユニークなタイトルからはわかりづらいのですが、お世辞にも強いとは言えなかったフロンターレの観客動員を増やすために、川崎フロンターレのプロモーションに携わる著者が何をやったかが書かれている、スポーツビジネス奮戦記なのです。

この本では天野さんを中心に実践したことがふんだんに語られており、スポーツクラブ経営に携わる人だけでなく、あまたのビジネスマン(特に、企画やマーケティング部門の方々)にとって、参考にしたくなるであろう内容だらけです。

とにかく、充実の内容なのですが、すべてを書くわけにもいかないので、自分なりに気になったポイントをいくつかご紹介したいと思います。

たくさん集めたアイデアは、くっつけたり、向きを変えたりして、企画になる。

フロンターレの集客アップにつながる企画を次々生み出すアイデアマンの天野さん。アイデアを探すこと、思いつくことがもう、息をすることのようになっているそうです。バスタイムでも、家族サービスのお出かけ先でも、時間、場所問わず、何かフロンターレのプロモーションにつながることはないか、無意識のうちに探し続けているとか。

そんな天野さんがアイデア集めで大切にしていることは、「ほんの少しでも面白いと思ったことは捨てない。」ということ。それが、集客プロモーションに欠かせない企画力を鍛えるからなんだそうです。

ちょっと個人的な話ですが、最近、森野さんのすすめで、日常の中で少しでも面白いと感じるようなネタを探し歩いたりしています。これって、天野さんのやっていることに似ているなあと。そして、その先にあるのが、著者のようなアイデアマンの姿なのだと思うと、これはずっと続けていきたいなと思います。

少し話がそれましたが、そうやって集めたアイデアもそのままでは使えないとも。アイデアは企画のカケラであって、それをくっつけたり、テトリスのように向きを変えたり、かたちを変えたりすることで、ようやく企画という形になるのだと書かれています。

いいアイデアを思いついた時点で、ついそこに固執してしまいがちですが、そこから実行可能な企画に落とし込むには、一ひねりも、二ひねりも応用が必要だということですね。

企画に不可能なことはない。というか、不可能にしない

タイトルにも使われている「算数ドリル」を作るエピソード。その結びで語られていることが印象的でした。
少し引用します。

僕は、この算数ドリルの企画を通して、いや、これから語るすべての企画もそうだが、「何事も一筋縄ではいかない」ということを実感した。それは「できない」「不可能」という意味ではない。何事もゴールに向かうためには、テトリスのように形を変えたり、視点を変えたり、人の話に耳を傾けたり、様々なところに隠れているヒントを一つひとつ活かすことで突破できる。最悪の判断は、諦めるということかもしれない。

本書を通して読むと分かるのですが、「最悪の判断は、あきらめるということかもしれない。」この一文に、著者の本質が見えるような気がします。つまりどういうことかというと、思いついて実行したが最後、成功に導くまで、やめずにやり続ける人だということです。

また、他のインタビュー記事では、天野さんは自らを「実践者」であると語られていました。
アイデア集めにしても、企画にしても、それを実行に移すのでも、すべては机上で終わることなく、実践あるのみの人でもあります。

その姿勢から、強い意志を持って実践を続けること。それだけが目標を達成するダイナモ足り得るのだと思いました。

ちなみに、算数ドリルを作り上げた直後、チームメンバーのマズいふるまいで、カップ戦の準優勝賞金を辞退することになるのですが、天野さんは、それすらも算数ドリル配布のプラスにしてしまいます。(詳しくは本書にて。)
その時を振り返って、「災い転じて福となす。ではなく、福とする。」と書かれているのですが、この「福とする」というところに、つくづく「天野さん強いなあ」と思うのでした。

企画の前に大切なこと

「ブームではなくライフ」という章では、クラブ集客の企画の前に考えておくべきポイントがいくつか挙げられていますが、その中で僕が一番心にとめておきたいと思ったのが、
「商売として収益面をクリアするのは第一のハードルとして、その先も意識すべきだ。最終のゴールとして収益だけを考えているとビジネスは行き詰まる」
ということでした。

集客や収益をもたらすことはビジネス上、必要なことですが、その前に「なぜその商売をしているのか?」という問いに明確に答えを持つこと。
そして、自分の商売は、誰を豊かにし、幸せにするのか?を考えること。それがまず大事だと。

また、そのターゲットさえブレなければ、あらゆることを取り込んで面白い企画を出せる。とも著者は言います。
これは、企画をする前の心構えとして、大きな土台のようなものを教えてもらった気持ちになりました。

その他にもまだまだたくさん・・・

上で書いたこと以外にも、僕が本書に付せんを貼った箇所は、まだまだたくさんあります。

見出しだけピックアップすると、

  • 企画を実行に移すときの6つのキーワード「胃・色・柔」「安・近・単」
  • 先を読む力と何とかする力
  • 一石四鳥に発展させる

などなど。

参考にすべきポイントを挙げようとすると、枚挙に暇がありません。
後は、ぜひ本書を手に取って、確認してみてほしいです。

本書の初版は2011年と少し前ですが、アイデア→企画→実行に関する普遍的な内容で埋め尽くされているので、今読んでも役に立つこと請け合い。
超絶おすすめです!!


2016年4月21日 | MaedaKazutoshi | コメント(0)

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