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「みんなのアクセシビリティ評価ツール:miChecker (エムアイチェッカー)Ver.2.0」を試してみた

2016年4月27日 10:00

ディレクターの武藤です。
4月20日に、「みんなのアクセシビリティ評価ツールmiChecker (エムアイチェッカー)」がバージョンアップされましたので、変更点や機能をまとめました。

miCheckerとは?

miCheckerは、ウェブアクセシビリティ対応の取り組みを支援するために、総務省が開発し、無料で提供するアクセシビリティ評価ツールです。

miChecker Ver.2.0の主な変更点

  • HTML5 (W3C Recommendation 28 October 2014) への対応
  • JIS X 8341-3:2016への対応
  • 各種付属文書の更新

2011年以来のバージョンアップで、待望のHTML5対応ということがあり、使う機会が増えそうです。

どんなことができるの?

大きく分けて3つ!

  • アクセシビリティ検証・音声ユーザビリティ可視化
  • ロービジョン シミュレーション
  • JIS X 8341-3:2016 達成基準チェックリスト作成サポート

このような方にはお勧めです!

  • これからウェブアクセシビリティを学びたい
  • 自社サイトの検証を行ってみたい
  • サイト改善のために検証したい

実際に、グラン堂のページを検証しながら、どんなことができるのかご紹介します。
インターフェースは、前のバージョンとほぼ同じです。

アクセシビリティ検証・音声ユーザビリティ可視化

「アクセシビリティ検証・音声ユーザビリティ可視化」を実行するするとこのような画面になります。
音声での利用をイメージしながら確認するために使います。

アクセシビリティ検証・音声ユーザビリティ可視化実行画面

音声ユーザビリティビュー

音声ユーザビリティビューをスクロールすると、このようになります。
音声読み上げソフトを使用したときの問題点が可視化されます。

音声ユーザビリティビュー

音声ユーザビリティビューでわかること

  • 実際に読み上げられるテキスト
  • ユーザーがページ内の情報に到達するまでの予測時間を背景の明るさで可視化
  • アクセシビリティに問題があるところは、アイコンで警告表示

わかっているつもりでも、あたらためて可視化すると気づくことが多かったです。
目で読むのとは違い流し読みができないので、情報に到達するまでの時間への配慮が必要ですね。

ロービジョン シミュレーション

「ロービジョン シミュレーション」を実行するするとこのような画面になります。
弱視者・高齢者の利用をイメージしながら確認するために使います。

ロービジョン シミュレーション実行画面

ロービジョン シミュレーション設定画面

視力、色覚異常、水晶体透過率(年齢)を設定できます。

ロービジョン設定画面

ちなみに、視力0.1、色覚正常の私が60歳になるとこんな風に見えます。

視力0.1、色覚正常、60歳での見え方

実際にどのように見えるのか確認できると、実感がわきますね。

詳細レポート

ロービジョン シミュレーション詳細レポート例

詳細レポートでは問題がある箇所が「問題あり」「問題の可能性大」「要判断箇所」「手動確認」の4種類に分類されます。
問題を右クリックすると、該当するJIS規格「JIS X 8341-3:2016」の達成基準や達成方法にリンクされているので、規格のすべてを知らなくても、理解が深めやすいようになっています。

JIS X 8341-3:2016 達成基準チェックリスト作成サポート

miCheckerを活用すると、ウェブアクセシビリティの知識がなくても、達成基準チェックリストを作成することができます。

ワークシートの例

出力したCSVをエクセルのシートにペーストすると、miChecker評価結果が、実装チェックリストに読み込まれます。

実装チェックリストの主な項目

  • 達成基準
  • 達成方法
  • テスト方法
  • miChecker評価結果
  • 実装チェックリストの該当番号

具体的なテスト方法が書かれているので、学びながら達成基準チェックリストを作成することができます。
また、miCheckerにはさまざまな手順書が用意されていて、試験、検証、基準の合否判定の方法についてくわしくまとめてあります。

JIS規格「JIS X 8341-3:2016」から勉強をすると膨大な資料に圧倒されてしまいますが、このmiCheckerを使うと、身近な問題からウェブアクセシビリティを習得することができます。

最後はやはり人が判断

アクセシビリティの検証は、機械的に判断できることと、人が判断しなければならないことがあります。

詳細レポートでは「問題あり」「問題の可能性大」「要判断箇所」「手動確認」の4種類に分類されるように、ほとんど人間の判断が必要になります。

例えば、画像のalt属性の内容が適切かどうか、コンテンツの重要度などは、使う人の立場になって判断することが大切です。

miCheckerは、あくまで人が判断するための支援として使うことに変わりありません。
人工知能がウェブアクセシビリティを評価する時代になるには、まだ時間がかかりそうですね。

総務省
みんなのアクセシビリティ評価ツール:miChecker (エムアイチェッカー)Ver.2.0


2016年4月27日 | MutoRina | コメント(0)

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