グラン堂ブログ~お互いの仕事で分からないことを回答するブログ~

Webアナリストが、コンセプトダイアグラムでわかる[清水式]ビジュアルWeb 解析を読んで思ったこと

2015年4月22日 17:19

編集担当の方から献本いただきました。ありがとうございます!

2011年にa2iのセミナーで清水さんのお話は聞いたことがありました

清水さんのコンセプトダイアグラムについては過去にa2iのセミナーでお聞きしたことがありまして、その時の感想を簡単に書いています。a2iのセミナー、個客とIAとアクセス解析に行ってきました | 運営堂
ちょっと引用します。

どんな成果が欲しいか?から始まって落とし込んでいかないと、いらない指標まで指標に設定しまうことになりかねません。取れる指標はたくさんあるに越したことはないんですが、管理する指標はシンプルな方が日々の管理が楽ですし、いざという時にも深堀できるようになっていればいいわけです。取れるから、という理由で無駄な指標を管理しても意味がないんですね。

このころってGoogle アナリティクスを入れて、ゴリゴリ解析して、分厚いレポートを作って、はいどうぞ、という作業が多かった頃です。私自身はそういったレポートを出してもアクションにつながらないことが多く、悩んでいたので目から鱗が落ちる思いでした。

でも、これって頭では分かっていてもなかなかできないんですよね。

集客も制作もわかってないといけないし、動かさないといけないし、その前後にあるリアルの世界までも動かすことができないといけないからです。

3年が経ってグラン堂では

「管理する指標はシンプルな方が日々の管理が楽ですし、いざという時にも深堀できるように」を考えると、どうしても指標の設定は作る前になってきますので、設計段階からみんなが関わった方がいいわけです。

その考えを元に進めた事例がこちら。
作ってからではもう遅い、制作会社がサイトを作る前にやるべきこと

SEOではキーワードやユーザーのニーズや検索ボリュームから全体の構成を考えてWebサイトを設計していきます。そして、設計段階から解析担当が関わることでSEOの効果測定やWebサイトの効果測定がとってもやりやすくなる、という内容。2011年に清水さんのお話を聞いて以来、解析の設計はどうしても事前に終わらせておきたかったので、やっとそれができたのは嬉しかったですね。

でも、これでも清水さんのレベルには程遠いという・・・。

やってみるとムチャクチャ難しいことがとっても簡単に書かれている

清水さんの本はとても分かりやすい日本語で書かれていて図も多いので、読んだ時は分かったような気分になりますが、実はまったくそうではありません。

ユーザー体験を数字で評価してビジネスの改善につなげる
個客の流れを表す図の上に、企業が取り組んでいる施策やコンテンツをマッピングする

わずか2行の文章ですが、これをWebサイトの設計に落とし込んで、考えた流れのように動いてもらって、そうなっているかを測定するわけなので、どのジャンルの知識がどれだけ必要なのかもわからないぐらい難しい内容です。

ユーザー体験にはどういったものがあるかは現場に行ったり、クライアントにヒアリングをしたり、競合の調査をしたり、自分で買ったりとやることがたくさんあります。数字で評価するにしてもどの数字が適当かを判断するにはアクセス解析の知識だけでは不足しています。

ゴン・ウェブコンサルティングの権さんもこう書かれています。
コンセプトダイアグラムでわかる [清水式]ビジュアルWeb解析 読みました。 – WEB戦略コンサルタント 権成俊のブログ

ただ、やはりこれは上級者向けでしょうね。
丁寧に書かれていますが、経験が少ない方が読んでも一つのやり方にしか見えないでしょう。
本質はコンセプトダイアグラムを使うかどうかではなく、考え方の流れとして、ウェブサイトで成果を出すための戦略をユーザーシナリオの視点で明らかにすることからスタートすべし、ということです。

まさにこの通りです。
手法として考えている限りは絵に描いた餅にしかならないと思います。

自分の分野の仕事を追及してきて、他の分野の人とも関わった経験があって、ユーザーのことを真剣に考えて、そして悩んだことのある人にはとっても参考になる本です。

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2015年4月22日 | admin_grandou|コメント(0)

Webディレクターが、コンセプトダイアグラムでわかる[清水式]ビジュアルWeb 解析を読んで思ったこと

2015年4月21日 11:35

Webディレクターの鬼頭です。
Webデザイナーの井上とはまた少し違う視点から、書評をかかせていただきました。

はじめに

本書を手にした時、まず興味を持ったのが冒頭の「はじめに」でした。
レポートを作成しても理解されず活用されない、数字を見せても「そんなことわかっている」と言われ、しまいには「細かい人だ」と思われる。改善アクションにつながらないから評価もイマイチ…。
そんな報われない解析者の一人であった著者の「もっとアクセス解析でビジネスに貢献するにはどうしたら良いか」という切なる想いを感じたからです。

さて、そんな報われない不憫な解析者だった著者が提案するのがこの「ビジュアルWeb 解析」です。「解析」というと多くの方は、サイト公開後にPV やUU などの数字をもとに分析するイメージではないでしょうか。
私自身、かなりそのイメージが強くありました。だって、数字がでなければ分析もなにもないでしょう、と。
しかし、本書ではサイト設計から携わります。設計段階から様々な情報を「見える化」することで本当に必要なデータを明らかにしていく方法を丁寧に説明しています。(見える化がどうして有効なのかは、本書を読めばきっとすぐに分かるでしょう。複雑になりがちな説明を非常に分かりやすく図式化されていますから)。

「伝える・伝わる」技術

興味深かったのは、まず「解析・分析」するのは、サイト公開後に出てくる数字ではなく、サイト設計段階で必要な「ユーザ心理・行動」だということ。
そして必要な施策・機能・コンテンツなどを具体的に考えていく。これって、サイト設計と同じ感覚です。
ただ、ここで終わりでないのが、さすが今まで報われなかった解析者です。
コンセプトダイアグラムというツールによる「見える化」により、様々な情報を整理するだけでなく、いかに「伝え、共有し、理解させるか」、得た情報を「どうやってアクションにつなげるか、ビジネス貢献につなげるか」という、アウトプットまでしっかりと解説されています。
たとえば、レポートやグラフについて、どのぐらいの粒度でデータを抽出すればよいか、どのような配置・色・形でグラフを作ったら伝わりやすいかなど、具体的な例を様々な図式を使用して丁寧に説明されています。数字を出して満足、とりあえず図にして終わりでは今までの境遇と何も変わりません。
より分かりやすく改善アクションにつながりやすいレポートを作ることも解析者の腕の見せ所、というわけですね。

「成果」はどこにあるのか

さきほど、サイト設計に関しては制作者と同じ感覚だと書きましたが、「これは解析者ならではの視点だな」と思ったうちの1 つに、コンバージョンの考え方があります。
制作側はどうしてもWeb での成果にこだわります。物販サイトなら「Web からどのぐらい売れたか」にフォーカスをあてて考えてしまいがちです。
もちろん、そこにこだわるのは当然です。が、お店側としては、Web で売れようが、実店舗で売れようが、売上であることに変わりはないのですよね。
本書の例にあるように「実店舗のマップのページ」をコンバージョンに設定することは、ちっともおかしいことではないのです。
目に見えるデータにとらわれず、企業が求めるゴールではなく、顧客の求めるゴールを(たとえWeb で計測するのが困難だとしても)まずはきちんと把握することが重要だと再認識させてくれます。

Webサイトを作る意味・意義を改めて考える

通常、なかなかサイト設計を考える場に解析者の席はありません。
サイトが出来上がる間際、遅い時はサイトが公開されてしばらく経った後に呼ばれる事のほうが多いのではないでしょうか。
そんな不憫な立場の解析者はもちろん、サイト制作にたずさわる全ての人にお勧めしたいしたい一冊です。
きっと強い武器になってくれるはずです。
そして、Web サイトを作る意味・意義を改めて考えさせてくれるでしょう。

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2015年4月21日 | admin_grandou|コメント(0)

Webデザイナーが、コンセプトダイアグラムでわかる[清水式]ビジュアルWeb 解析を読んで思ったこと

2015年4月20日 11:40

webデザイナーの井上です。
運営堂の森野さんからwebデザイナーでも読みやすい本をご紹介していただきました。
今回はwebデザイナーからの視点で読んで思ったことをまとめました。

webディレクター・webデザイナーでも読みやすい

「アクセス解析」というと、webサイトを制作する上で大切なことだとは思いつつ、難しそうで使い方もよくわからないという印象でした。
私と同じように、webサイト制作はできるけど、アクセス解析って全然分からない!という人には読んでもらいたい1冊です。図が多く使われていて、文字量も少ない。専門用語は噛み砕いて説明しているので、とても読みやすいです。

サイトの設計時からアクセス解析を考える

「アクセス解析のレポート出しておいて」といわれて、困った経験ありませんか?私はアクセス解析ツール(Googleアナリティクス)を開いて、Googleアナリティクスの便利機能「マイレポート」で作成します。しかし、レポートを元にクライアントに伝えられることは、「今月はコンバージョン増えましたね」「このページが一番見られてますね」など数字を見たままに説明するのみです。そこからつなげられる提案がなく、webサイトは更新しないまま放置される・・・なんてこともありました。
この本は、まずはアクセス解析ツールは開きません。そもそも、サイトを作成した後、最後にアクセス解析タグを挿入して、1ヶ月後にレポート作成をする、という流れではありません。サイト設計をする段階からアクセス解析・レポートの作成までしっかりと決めておきます。
まず作成するのが「コンセプトダイアグラム」という図です。

コンセプトダイアグラムとは、サイトのコンセプト、つまり企業が望むユーザーの行動・気持ちの変化と運営者による取り組み(施策・機能・コンテンツ)との関係を図解したものです。

この図をサイト設計時に描いておくことで、サイト設計+アクセス解析(レポート作成)ができてしまう優れもの。コンセプトダイアグラムの図で理解し、整理できることは以下の点です。

  1. ビジネス課題を整理できる(商品が認知されていないので、広めたい)
  2. 顧客が満足するまでのゴールを決める(ECサイトで商品をリピート購入し、その商品のファンになる)
  3. 設定したゴールに向けてのステップを設定(気になる→購入→思い出す→リピート購入)
  4. 各ステップを達成するための具体的な施策案(イベントの告知・口コミで広める)
  5. 施策案に基づき、コンテンツを作成(ブランドページの作成・SNSの活用)
  6. レポート作成案(どのデータを基準に、どんな結果をレポートとして出すか)
  7. レポートの結果次第で、次になにを提案するべきなのか考えておく

アクセス解析というよりは、「webサイトの設計方法」のような感覚に近いです。事例を元に、このコンセプトダイアグラムという図の解説を丁寧に順を追って説明されています。
アクセス解析だけで考えると苦手意識がありますが、サイトの設計と同様に考えていくことで、なじみやすく感じました。また、図にすることでクライアントとの認識のブレをなくし、サイト制作がスムーズに進めることができそうです。

コンバージョンは「購入完了」「お問い合わせ」だけではない

ECサイトでは「購入完了ページ」をコンバージョンに設定していることが多いと思います。しかし、実店舗があり、通販もしているという企業の場合、「実店舗の場所が掲載されたMAPページ」をコンバージョンに設定してもokなんです。

「地図を見る」行為は、商品に興味を持って「買いに行ってみよう」と思ってもらえたことを意味します。そこで、ECにおける購入完了と同じくらい需要な行為だと位置づけました。

これはなるほど!と思いました。そもそも、コンバージョンを設定できるページが複数ある意味が分かっていなかったので、納得です。
さらに、webの解析ツールだからといってオンライン上のデータではなく、例えば採用情報ページであれば、実際に採用された人数など、オフライン上のデータをレポートに組み込むことによって、部分的な数字に振り回されることなく、解析できます。これで、幅広い視点でバランスのとれた運用や改善ができます。
まず初めにアクセス解析ツールを開かないというのは、ここでもメリットになります。

アクセス解析からwebサイト制作を学ぶ

この本は、私からはwebディレクター・webデザイナーにおすすめしたいです。アクセス解析のことだけではなく、サイト設計〜クライアントへの提案〜webサイト運用方法が学べると思います。見た目だけのリニューアルは企業の予算を使っただけです。webサイトを制作したら、課題が改善されて売り上げがアップした。そんな本来のwebサイト制作の参考になる1冊だと思います。

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2015年4月20日 | admin_grandou|コメント(0)

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