Webデザイナーが、新しいアナリティクスの教科書を読んで思ったこと
2015年7月31日 10:57
今回は『新しいアナリティクスの教科書』の書評をまとめさせていただきました。
この本は主に、企業内のWeb部門担当者向けとなっていますが、Webデザイナーの視点から読んでみました。
はじめに
国内最大級のアナリティクス担当者の協議会「アナリティクス アソシエーション」による公式書籍のためか、一見アナリティクスのことを熟知していないと理解しにくい難しい本と思われます。個人的には本の装丁がさらに難しそうな本に見えているような気がします。しかし、アクセス解析に少々理解があれば、読み進めることができます。
内容の構成としては、幼年期・少年期・青年期・成人期とステップを踏んで説明しています。自分は現状どの段階にいて、これから具体的にどのようにすればステップアップしていけるのかということが見えてくるので、次のステップへ行動に移しやすいです。まさにタイトル通り、教科書ですね。
失敗するかもしれないから、やらないのではなく、まずは行動してみる。それがステップアップへの近道だといいます。まずは、この本を読んでみるということが成長するためのスタートになるのではないでしょうか。
アクセス解析とアナリティクス
Webデザイナーで「アクセス解析」は触ったことがある、理解しているという方が多いかと思います。有名なGoogle Analyticsは普段使用しているのではないでしょうか。しかし、アクセス解析とアナリティクスの違いについては説明できる方はどの程度いるのでしょうか。混同して使用している方は覚えておくと良いですね。
- アクセス解析とは
- サイトのアクセスデータのみを対象とした分析方法。ユーザー行動を見ることができる範囲は、サイトにアクセスしてから離脱までとなります。
そのため、Web制作会社のみで完結しがちです。 - アナリティクスとは
- サイトのアクセスデータに限らず、サービスの顧客データ、商品データ、店舗の販売データやサポートのデータなど、企業内に存在する、あらゆるデータを対象とした分析方法です。
そのため、Web制作会社だけでなく、クライアントが保有するデータを使用するため、双方が協力しなければ、アナリティクス分析は成立しないということです。
つまり、Webサイトでビジネスの改善をしていくためには、企業と歩み寄っていくことが必要となってきました。単なるWeb制作会社ではなく、企業内のWeb部門と近い存在にならなければなりません。そのためには、まずは私たちWeb制作会社からクライアントの商品・サービスを熟知し、愛することから始めるべきなのではないでしょうか。
クライアントの先の「ユーザー」を見る
近年、様々なツールが進化し、集められる情報が増えました。マーケティングの自動化ツールもあるほどです。しかし、そのデータを上手に活用できていない方が多いと言われています。データありきではなく、それをどのように活用するか、それが重要だと本書では述べられています。
まずは、今までの企業側がリードしていた伝統的なマーケティングではなく、「ユーザーを見る」ということ。実店舗でも、商品やサービスの改善のヒントとなるのは、実際に訪れたお客様の行動ではないでしょうか。それと同様のことをデータ上で分析します。
近年はユーザーがリードするマーケティングに変わってきたようです。
本書内では、下記のように記載されています。
現在は「ユーザー中心」の時代だと言われます。企業側がいくら優秀な商品、高性能なサービスを提供しても、ユーザーがそれを「いい」と思わなければ、評価されません。
Web制作者はクライアントの意向を優先しがちです。もちろん、お客様であるため、ある程度の要望は聞くべきだと思います。しかし、その判断はその先の「ユーザー」のことを考えたものなのか、それは結果的に企業を幸せにするのか、検討するべきです。
しかし、ユーザー主体に考えることは、クライアントと綿密なすり合わせが必要です。時にクライアントの意向が反映されないことで、関係に亀裂が生じてしまうかもしれないからです。そのため、積み重ねたコミュニケーションこそが信頼に繋がるのではないでしょうか。
失敗してもあきらめないこと
まずは小さいことからスタートして、失敗を繰り返しながらチャレンジを続けることで成功する。だから、あきらめないこと。これは本書で何度も繰り返し出てくる言葉です。
少々綺麗事だと思われるかもしれませんが、企業の分析から改善までの失敗から成功をした例がいくつが挙げられていますので、納得できます。アナリティクス分析から導き出した改善方法は、100%正解とは限りません。そのため、失敗をして、どうして失敗したかをまた分析することによって成功を導き出します。まずはあきらめずにやってみること。これが第一歩となります。
そうは言いましても、何度も挑戦することはコストが当然かかるため、企業にとっては難しいことです。そこで、またこれも繰り返しになりますが、Web制作会社とクライアントが歩み寄ることが不可欠となります。お互いに仲間となって、WinWinな関係を築くことができれば、最高ですね。
まとめ
進化をしていくことで便利になるので、人はいらなくなるというのが未来のイメージであるのですが、実際は進化をするほど、人員が必要になり、コミュニケーションが発生してくるものなんですね。Webという実態がないものだからこそ、こういった進化の形になるのでしょうか。
企業となかなか歩み寄れないときに、本書を読んでみてもらうのはいかがでしょうか。企業の失敗例・成功例を読むだけでも、十分面白いです。
そして、企業の仲間に加わることで、私たちWeb制作会社もさらに成長していけると思います。
2015年7月31日 | admin_grandou|コメント(0)