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ブックレビュー:できる100の新法則 Google Search Console -これからのSEOを変える基本と実践-

2015年10月7日 16:33

ディレクターの藤田です。
「Webサイトを作るのが、どんどん難しくなってきたなー。」この手の本を読むと毎回思います。
今回は、アユダンテさんが書かれた「できる100の新法則 Google Search Console – これからのSEOを変える基本と実践 -」という通称サチコさんの本を森野さんにいただいたので、感じたところをまとめました。

これは誰が知るべき?

読了して一番最初に「これは一人じゃ無理」というか「関わる人みんなが同じ分量で知っておかないと実現できない」と思いました。冒頭コラムに「Search Consoleは検索に関わるすべての人のためのサービス」とありますが、まさにその通りだと。

「できる100の新法則 Google Search Console」の各章に対して、関連するフェーズと担当者の重み付けを勝手にまとめると次のようになりました。

関連フェーズ 関連する人と重み付け
第1章:
クロールとインデックスの新法則
初期:運用 = 4:6 オーナー:制作 = 5:5
第2章:
キーワード分析と最適化の新法則
初期:運用 = 4:6 オーナー:制作 = 5:5
第3章:
ページやサイトの構造を整える新法則
ほぼ初期 マーケティング:制作 = 5:5
第4章:
モバイルフレンドリーとページ高速化の新法則
ほぼ初期 オーナー:制作 = 3:7
第5章:
SEO上のトラブル防止と対処法の新法則
初期:運用 = 5:5 オーナー:制作 = 5:5

第1章では、進化したSearch Consoleの機能とその見方が紹介されていますが、そこでさえオーナーと制作が関わるべき重みは 5対5 。そう、制作がSearch Consoleを使ってやるべきだなと思うこともあるということ。

サチコの本といいつつ、第3章や4章はほぼ構築前の設計のお話。でもこの本に書いてあることを全て把握して対応しようとすると、絶対制作だけの知識では無理。第3章はマーケティング担当と、重みは 5:5 。といった具合で、ほんとに 「関わる人みんなが同じ分量で知っておいたほうがいい」 と感じます。

これ予算付かないとできない

上記の表の「関連フェーズ」を見ると、第2章以外、サイトを構築する初期、つまり設計の段階で考えておきたいことばかり。

例えば第1章だと次の項目が該当します。

  • [新法則 8] サイトマップを追加してGooglebotのクロールを助ける
  • [新法則18] robot.txtは設置前に必ず動作テストをする
  • [新法則19] 「noindex」でページのインデックスを拒否する

これらは運用フェーズで継続的に調整をするものだけど、だからといって最初が適当でいいということではなく、やはり事前の設計は大事です。
さらに第3章で解説されている次の項目は、直接システムの仕様に関係してしまうから最初に考えられてないと後での挽回が難しい。

  • [新法則53] 大量の重複は設定やCMSの問題を疑う
  • [新法則54] 重複が起きないようにページの正しいURLを指定する
  • [新法則56] 分割したページは番号を付けて重複を回避する
  • [新法則58]~[新法則62] で解説されている「構造化データ」関係

第5章にある 「[新法則95] SEO効果を引き継ぐ301リダイレクトを理解する」に関連するURLの設計もそうですね。

つまり、構築時に設計すべきこと多すぎ… orz なわけで。簡単な作業でもないので、これはこれでちゃんと予算を付けないとやれないなと思うわけです。
さらに考えるのは、リニューアルの場合は標準でこれらに対応するべきなのか?ということ。

無条件で全部に対応することはできないけど、さすがにリニューアル前の評価を落とすわけにはいかない。なので、関係するタスクを「評価を落とさないための対応」と「評価を上げていくための対応」に別けて、「落とさないための対応」は標準で実施し、「上げていくための対応」は別で見積もりを追加する、とか何らか対策を練らないといけないな、と本の内容とは別のところで新たな心配が出てきてしまいました。

定期点検サービス、いかがでしょう?

本書の第1章には、定期的にSearch Consoleを見て、Googleからメッセージが来てないか、エラーが起こっていないかなどを確認する手順が解説されています。第2章のように、キーワード分析に基づく改善・最適化は制作部隊だけで対応できるものではないけれど、第1章のようなサーバに発生しているエラーや、サーバ上のファイルに由来する不備の解消は、制作部隊が自主的に行う一つの「定期点検サービス」として、運用保守のメニューに追加してもいいかもしれないな、と思いました。

運用はコンテンツの更新にばかり関心が行きがちですが、車と同じように、メカニックが定期的にメンテナンスをすることで、故障の早期発見と修理ができて、オーナーも安心するのではと。

終わりに

本書は「Search Consoleの使い方が分かる本」ではなく、副題の「これからのSEOを変える基本と実践」というのがまさに、という印象です。Googleの評価基準がどこにあって、サイトが正しく評価されるためには、どんな準備・体制・取り組みが必要かを教えてくれる、考えさせられる一冊でした。

情報量も多く、技術面にも少し踏み込んできちんと解説がされていますので、体系的な理解を求める本気度の高い方におすすめです。


2015年10月7日 | admin_grandou|コメント(0)

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